遠藤周作の「女の一生」を読んで

遠藤周作の作品は、

恥ずかしながらこの「女の一生

というタイトルの、

菊が主人公のものしか読んだことがないが、

とても印象的で、心に後遺症が残るほど

悲しい結末だった。

 

1番私がこの作品で驚かされたのは、

主人公の菊の心情が、

女性のそれだったこと。

普通男性が女性を描写すると、

「そんな女性いませんけど」っていう

人になってしまったりするのだけど、

この菊は、私の拙い表現から言わせてもらうと

真の女性だった。

 

後遺症が残ったのは、

この菊という女性が読者の忌み嫌う男性の

思い通りになってしまうシーンから。

ショックのあまり怒りが止まらず、

こちらの精神状態をこじらせるほど、

その内容はひどかった。

 

そこには儚い希望と、醜い欲望、嫉妬、

裏切り、弱さが交差していた。

 

読者にとって幸せであってほしい菊と

菊の恋する彼は、弱さや儚さの代名詞に

なってしまい、

何度も死がすぐそばまで押し迫ってくる。

 

そして読者が嫌う存在である男性(名前忘れました)は、卑しさ、醜さ、嫉妬や裏切りの

代名詞だった。

彼は菊と菊の恋人との切ない恋を嫉妬し、

する気もない約束を菊と交わすことで

2人の世界に忍び込むことになる。

菊は愛した恋人とキスをすることもないまま

、あの醜い男性に体を売ってしまうのだ。

 

そのシーンでは、

彼女はもはや死人として映し出されている。

必死に抵抗するような

活力が描かれることはなく、

ただただ客観的な、そこに自分はいない

とでもいうような、

力の存在しない描写ばかりが描かれている。

死体を死体と気づかずに頬張る

醜いハイエナのような男が、

菊の心と肉体を切り刻む様子が、

読者の心にも深い傷を残す。

 

私がこの本を読んで感じたのは、

その弱くて脆くて儚い菊が、

全てを許すということが

この本のテーマなのだということ。

 

キリスト教がベースになっている書籍なので、

勿論そちらの方面から見える景色も

沢山ある物語なのだろうけど、

無知な私でも、感じ取る所の多い、

とても印象的な本だった。

 

また改めてゆっくりこの本の感想を書きます♪